NO.0272 季節のトラブル―皮膚炎―

まるで梅雨のような天候が続いています。
晴れた日は気分も爽快なのに、やはり雨の日はテンションが下がりますね。
沖縄では梅雨入りしたそうですから、2ヶ月間は自律神経のバランスを
乱さないような生活パターンを心掛けることが大切ですよ!

ご存知のように天気や気圧は自律神経やホルモンのバランスを
乱す要因になります。
特に、今年の春から新生活を始めた方、なんとなく不定愁訴を
感じる方は要注意です。
一番大事なことは夜12時までには寝る!
これが私を含めなかなかできない方が多いと思いますが、
とにかくできるだけがんばりましょう!

実は先日、アロマセラピー界の大御所、浅井隆彦先生の講演を
聞く機会がありました。
わかりやすく、心のバランスとアロマの作用のお話をお聞きしましたが、
奥行きの深さを感じました。
「心と体のトータルケア」とアロマの活用という点では
今の季節、最近の天候においては特に大切です。
久し振りに私の中にもスッーと入った楽しいセミナーでした。
勉強熱心ではない私にとっては、20年ぶりくらいの感動でしたよ!
そのセミナーの中で浅井先生が、ストレスのない人間像の代表は、
「落語の中の登場人物」とおっしゃっていました。
・無理をしない ・我慢をしない ・欲求に忠実 ・弱点をさらけ出す
なるほど、ごもっとも!
なかなかできませんが、見習いましょうね!

さて今回のトラブルは温度も湿度も高くなり、皮膚表面も過敏に
なってくる季節ですので、色々な皮膚炎について勉強していきましょう。
皮膚炎というと、アレルギー性皮膚炎や、アトピー性皮膚炎など
代表的なトラブルがありますが、これらのトラブルは、今までも何度か
お話してきましたので、今日は別の、よく見られるトラブルについて
ピックアップしていきたいと思います。

まず、唇の周りにできる小さな水ぶくれ、このトラブルが何度も
発生する女性は意外に多いのです。このトラブルを単純性疱疹といいます。
疱疹とは皮膚に小さな水ぶくれが集まった状態でヘルペスともいわれます。
実はこの小さな水胞トラブル、感染後に軽い発熱や倦怠感などを伴います。
小さな水疱が集まってヘルペスとなりますが、特徴は真ん中が
少しくぼんだ状態になるということです。
ほとんどが乾燥してきてカサブタになり、1週間前後で治りますが、
このトラブル、再発を繰り返すというのがやっかいです。
再発はほとんど前より軽くなり、範囲も狭くなってきます。
発生原因としては、胃腸障害や風邪等による発熱、紫外線、寒冷寒風
などが挙げられます。
治療法としては乾燥が一番で、皮膚科ではアシクロビルの入った軟膏が
出される場合が多いようです。
自然回復を望むには、乾燥させる、触らない、食事の前に保護クリームを
塗って食後は水洗いして乾燥させる。その後、保護クリームをつける。
というステップが効果的です。
保護クリームは、乳化してあるものよりも軟膏タイプや油性のクリームが
適しています。

もう一つ、帯状疱疹というトラブルがあります。
単純性疱疹の疱疹ウィルスと異なり、帯状疱疹は水痘、帯状疱疹の
ウィルスです。このトラブルは、子供のかかる水疱瘡のウィルスが、
治ってからも脊髄の神経に潜んでいて、免疫力が低下したときに
発生します。単純性と違い、おなかや手足、顔、胸などに発生して
チクチクと神経痛のような痛みが激しく出ます。
病名同様、神経に沿って帯状に広がるのが特徴です。
重症の場合、リンパ節が腫れたり、発熱したりします。
治療としては安静休養が一番で、殺菌剤入りの軟膏や鎮痛剤を使用するのが
一般的です。病後や加齢による免疫力の低下が大きな原因で発生しますので、
すべての人が発生するというわけではありません!

次に、夏になって皮膚炎として発生するのが、白癬菌というカビの一種で
起こる、俗に水虫と呼ばれるトラブルです。
この白癬菌のトラブルは手足に出るものを水虫、顔に出るものをタムシ
(ゼニタムシ)、股や脇の下に出るものをいんきんタムシと
呼び名を変えます。非常に強い痒みを伴うのが特徴ですが、
水虫の角質型と爪水虫は、あまり痒くないようです。
治療は、清潔にすること、特に洗浄剤は弱酸性の抗白癬菌剤を使用します。
白癬菌のトラブルは、間違った薬剤の使用によって悪化しますので、
注意が必要です。
私のところに皮膚トラブルで相談に来られる方でも、小さなブツブツが集り、
輪状を形成して広がりのある場合は、必ず皮膚科の先生の指示を
受けてもらっています。
抗白癬菌剤ですぐによくなりますので、スキンケアと併用してもらう
場合が多いんです!

手足にできるトラブルで、良く似ているのにまったく異なる
トラブルもあります。手に発生する主婦湿疹、手足の汗胞、掌蹠膿疱症は
白癬菌によるトラブルではありません。
主婦湿疹は単純に洗剤カブレと考えられ、水仕事により悪化します。
進行性指掌角化症も同じです。
汗胞は小さいプツプツが壊れてカサカサになります。ストレスや緊張は
原因の一つと考えられ、夏の発生が多く痒みのないのが特徴です。
掌蹠膿疱症は膿胞の発生が特徴で、一般にアレルギー性のトラブルと
いわれます。虫歯も原因の一つといわれ、歯の治療はこのトラブルの方に
とってのチェックポイントになります。

今回は、夏に向けての主だった皮膚トラブルのお話をしてみました。
トラブルの回復には、前号に書いた日本人の食生活がとても関係してきます。
トラブルで悩んでいる方は前号「日本の食」をもう一度読んでみてくださいね!

そしてスキンケアとしては、使用するコスメの安全性と刺激性はチェックです!
できるだけ吟味してください。
お風呂で使用する全身シャンプーはアトピー対応タイプの弱酸性にしましょう。
また、皮膚炎を起している場合、トリートメントなどの成分は接触を避けた
方が良いと思いますので、シャンプー、リンス時も注意してください。
発生部位により、コスメの使用は異なりますが、急性のものは皮膚科の
先生の指示を守って対応し、慢性のものは自然治癒力を高めて回復に導く、
という考え方が大切だと思います。

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毎日のお手入れや、生活習慣の改善は大変なことですが、後天的な
トラブルは必ず改善しますので、いいリズムを習慣化するよう
がんばってください。
また、ご質問の際、肌の状況、生活、食習慣、年齢など詳しい情報を
いただければ、それだけ適切なアドバイスができるかと思います。
  
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